Web3とは何か
昨年あたりから「Web3(ウェブスリー)」「Web3.0」という言葉をよく目にするようになりました。
もうずいぶん前になりますが、Web2.0という言葉が流行りました。これはティム・オライリーによって提唱された概念で、ウィキペディアによれば下記のように記載されています。
ティム・オライリーの初期の定義は『旧来は情報の送り手と受け手が固定され送り手から受け手への一方的な流れであった状態が、送り手と受け手が流動化し誰でもがウェブを通して情報を発信できるように変化したウェブを「Web 2.0 」とする』としていた。
しかし、最近[いつ?]の発言では定義はあまり明確ではなく、彼も範囲を限定しないために、あえてそうしたとブログ[1]で説明している。また、彼は翌日、同ブログでWeb 2.0とは「すべての関連するデバイスに広がる、プラットフォームとしてのネットワーク」であり、Web 2.0アプリケーションを「ネットワークが本質的に持つ長所を最大限に活用するもの」であるとしている[2]。
また、日本のITコンサルタントである梅田望夫は、著書『ウェブ進化論』で、Web 2.0の本質を「ネット上の不特定多数の人々(や企業)を、受動的なサービス享受者ではなく能動的な表現者と認めて、積極的に巻き込んでいくための技術やサービス開発姿勢」としている[3]。
私の記憶では「全員が発信者になれる(メディアをもつ)」ということと「集合知」がキーワードでした。
では、Web3は何かというと、ウィキペディアの記述では下記のようになっています。
Web3(ウェブスリー)、[1] またはWeb3.0とは、パブリック型のブロックチェーンを基盤としたインターネットの概念である[2]。
この言葉は2014年に暗号通貨のイーサリアムの共同創設者であるギャビン・ウッドによって作られたもので、このアイデアは2020年と2021年に暗号通貨に熱狂する者や大型IT企業、ベンチャーキャピタルから関心を集めた[2][3]。
この定義だけだと、よくわからないと思います。
結構流通している考え方として以下のものがあります。
Web1.0 | Read | 情報を取得するだけ |
Web2.0 | Read & Write | 情報を取得するだけでなく、発信もできる |
Web3.0 | Read & Write & Own | 読み書きだけでなく、所有もできる |
これは、Web2.0によって急成長したSNS系企業(Twitter, Facebook等)が、利用者が書き込んだ情報を使って得た利益を独占しているということと対比した説明です。Facebookの利用規約には以下のような条項があります。
利用者が作成およびシェアしたコンテンツの利用に関する許可:利用者がシェアまたはアップロードした写真や動画などのコンテンツには、知的財産権に関する法律により保護されているコンテンツが含まれていることがあります。
利用者は、Facebookまたは他のMetaの製品で作成およびシェアするコンテンツについて、著作権や商標権などの知的財産権を保有しています。本規約には、利用者が自分のコンテンツに対して保有する権利をMetaが奪うような規定は一切含まれていません。利用者は、自分のコンテンツを、誰とでも、好きな場所で自由にシェアすることができます。
ただし、弊社がサービスを提供できるよう、利用者はコンテンツの利用に関する法的許可(一般的に「ライセンス」と呼ばれる)を弊社に付与していただく必要があります。第1条に記載したとおり、この利用者の許可は、弊社の製品やサービスの提供および改善のみを目的としています。
具体的には、利用者が弊社の製品上で、またはこれに関連して、知的財産権の対象となっているコンテンツをシェア、投稿またはアップロードする場合、利用者は、弊社が利用者のコンテンツを(利用者のプライバシー設定およびアプリ設定に従って)ホスト、使用、配信、変更、実行、複製、公演、公開、翻訳する、およびその派生的著作物を作成するための非独占的、譲渡可能、サブライセンス可能、ロイヤリティフリー、かつ、全世界を対象としたライセンスを弊社に付与するものとします。例えば、利用者がFacebookで写真をシェアする場合、利用者は、弊社がその写真を(利用者の設定に従って)保存、複製し、他者(弊社サービスをサポートするサービスプロバイダー、または利用者が使用するその他のMeta製品など)と共有することを許可したことになります。このライセンスは、利用者のコンテンツが削除されるとその時点で終了します。
Web3は、そういった特定の組織だけが利益を独占するということに対比する形で説明されているケースが多いようです。
その根底にある技術が、暗号資産にも使われているブロックチェーンです。
キーワードは「分散化」「非中央集権」(Decentralized)です。
Web3に関連するキーワード
Web3に関連するキーワードとしては以下のものが挙げられます。(他にもあるかもしれません)
略号 | 英語名称 | 日本語訳 |
DeFi | Decentralized Finance | 分散型金融 |
DEX | Decentralized Exchange | 分散型取引所 |
NFT | Non-fungible Token | 非代替性トークン |
DAO | Decentralized Automated Organization | 分散型自立組織 |
IPFS | InterPlanetary File System | 惑星間ファイルシステム |
DApps | Decentralized Application | 分散型アプリケーション |
半分以上にDecentralizedという単語が入っています。なお、IPFSもコンセプトしては非中央集権です。
どれも技術基盤の根底にハッシュやブロックチェーンが使われており、暗号資産(仮想通貨)も関わっています(IPFSは除く)。
それぞれのキーワードはそれを説明するだけでも結構な文書量になりますので、機会があればまた改めてご紹介します。